本年度は、第一に、戦後連邦制の形成過程において重要な役割を果たしたバイエルン州首相エーハルトの政治構想を未公刊史料に基づいて検討し、併せてその他のバイエルン州政治家の連邦制に関する見解を調べた。この作業を通じて、連邦制成立過程に対する地域アイデンティティの影響を明らかにした。 第二に、バイエルン州議会議事録を読み、1949年5月に議会評議会で採択された基本法案に関する審議状況を把握した。その際、バイエルン州が基本法批准を拒否するに至った理由の解明に努めた。 第三に、連合国のドイツ占領統治機関を検討し、それがいかに集権的性格を帯びるようになったかを追究した。なぜなら、こうした占領期間の集権化現象に対する批判という脈絡のなかで戦後連邦制構想が提起されたと想定してみたからである。 第四に、以上の研究を踏まえ、論文「ドイツ戦後連邦制成立と地域アイデンティティー-バイエルンと基本法-」を執筆した。これは目下ほぼ完成しており、3月に名古屋大学法学部法政論集編集委員会に提出し、6月に『名古屋大学法政論集』第183号として発行される予定である。 なお、平成11年度は研究期間の最終年度に当たるため、『研究成果報告書』を作成し、2月初めに提出した。
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