2年計画の研究の初年度である平成9年度においては、当初の研究計画に従い国家形成の早い西欧諸国とこれに遅れた東欧、アジア、アフリカなどのふたつの領域に大別してもっぱら運動と紛争の具体的事例を論じた文献資料の収集整理に努めた。従来の研究においては、民族運動、民族紛争における言語の機能が断片的に論じられるの場合が圧倒的に多く、本年度の研究においては、これらの先行研究を言語の機能という視点から、再構成する作業の一部が終了したにとどまった。民族運動、民族紛争における言語の象徴的統合的機能、帰属意識形成機能などの具体的分析は、次年度に行う予定である。
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