女性政策を効果的に進めている都道府県指定都市の実態調査を現職及び過去の担当者に対する面接等を中心に情報収集を行い、女性政策を進める基本的な指標を検討した。その結果、次のような事柄が当該自治体の女性政策を進展させ、女性の地位の向上に貢献する重要な要因になることが判明した。 1. 首長の理解及びサポート(山口県、沖縄県では首長の交代により女性政策の後退が見られる)選挙公約の有効性、女性副知事の存在意義 2. 女性政策推進のための庁内体制(首長もしくは副首長が長であるか否か) 3. 女性政策課の設置場所等 沖縄県では知事公室に設置され、室長が次長クラスであることのメリットが大きい女性政策課の所掌事務、権限、単独課であるか 4. 審議会・協議会が首長の諮問組織であるか否か(条件・規則における位置付け) 5. 行動計画の制定・評価に市民・女性NGOが参加しているか 6. 行動計画の評価が公表されるか 7. 女性団体との連携:女性団体の連合会の存在し、女性政策の推進を担っているか 8. 女性政治家との連携:党派を超えた女性議員による女性政策のサポート態勢 9. 担当者のコミットメント 女性職員の層の厚さ、教育委員会との人事交流(社教主事を任用することのメリット・デメリット)、女性政策経験の長い職員の配置 10. 庁内職員を対象としたジェンダー研修の実施 (人事研修にジェンダー・女性問題のコマを挿入、女性職員のみ対象では効果的でない) 11. その他:市町村女性行動計画の策定、総合開発計画における女性政策の位置付け さらに、女性政策の進展の度合いと女性の地位との関連を調べてみると、強力な相関関係が見られるのは、沖縄県、東京都であり、高知県、埼玉県、山口県などには、それほど見られない。また、同一県内においても、埼玉県の秩父より地域と東京都の境界に近い市・町では女性の地位も項目により大きな違いが見られ、今後のさらなる検証が必要である。
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