女性政策の評価指標としては女性政策推進のための制度的仕組みの他、労働、教育、福祉など分野毎に男女別にどのように影響を与えたかを評価するための指標が挙げられる。女性に関連が深いとされる社会政策分野の指標の開発には、国際的にもある程度進展がみられるが、交通システム、都市計画などいわゆるインフラ等の分野では、開発途上国を中心にODA関連でパイロット的な試みがあるだけで進んでいない。 制度的仕組みの強化は、1996年の第4回世界女性会議で採択された北京行動網領の12分野の一つとしても挙げられているように、国連、国をはじめとして、積極的に取り組んでいる。その結果、核となる評価指標が、ある程度確立してきている。都道府県・指定都市における女性政策推進のための制度的仕組みに関する評価指標については、総理府が毎年行っている男女共同参画関連施策の実施状況調査、北京JACが1998年度に実施した調査、および本科学研究費で筆者が行った調査結果などに基づいて私案を策定した。 教育、労働、福祉、保健などいわゆる社会政策関連分野の評価指標については、関西地区の女性政策研究グループで開発した指標や神奈川県女性問題協議会で発表した評価指標があげられる。大阪府の「新女と男のジャンプ・プラン:男女協働社会の実現を目指す大阪府第3期行動計画」は、1997年に改定されたものであるが、総理府が1996年に策定した「男女共同参画2000年プラン」には入っていない住宅整備やまちづくりもカバーし、執行状況を毎年評価している。イギリスのマンチェスター大学研究者チームは、南アフリカの交通システムのジェンダー評価をパイロット的に行っている。これらを参考にして社会政策分野だけではなく、インフラも含めた評価指標私案を作成した。 今後はこれら私案の指標の検証をした上で、日本の各々の自治体の実情にあった指標の策定が必要である。
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