1。 引き続き、第二次大戦前の日欧政治安全保障関係についての検討を進めつつも、変動の続く欧州政治安全保障情勢についての整理・分析をなした。本年度、欧州では、欧州統合の進展に大きな影響を持つユーロの導入、NATO(北大西洋条約機構)の拡大の実現(中・東欧3カ国の加盟)、欧州連合(EU)の加盟交渉の開始という決定的な動きがあった。とくに、防衛安全保障面では、ブレア政権が政策を転換し、欧州連合が防衛(当面は平和維持活動)に乗り出す方向が打ち出された。 2。 欧州では以上のように、日本も影響を免れられない秩序再編が進展しており、欧州現地で意見交換の上、専門家からレヴューを受け、情報も収集した。これを前提として、日欧協力問題の検討を進めた。 3。 欧州委員会による中期的対日政策策定のブレーン・ストーミング・セミナーに欧州委員会から招聘され、日=EU政治・外交関係について報告した。このほかにも、汎欧州政策研究学会(TEPSA)の日=EU協力会議、世界平和研究所の国際シンポジウム、米国国際政治学会=欧州政治研究学会の共催学会などにおいても、日欧関係・日欧比較(とくに政治安全保障面)についての研究報告を実施し、参加者と意見交換を行なった。 4。 フランス国防大臣訪日(99年1月)の折りにも在京フランス大使館の企画による大臣と日本の学者との懇談に招聘され、欧州安全保障情勢と日欧関係について意見を交換する機会があった。このほか、日本外務省、防衛庁、英国やフランス外務省、国防省、欧州委員会、NATO事務局、WEU(西欧同盟)事務局などの実務家と、日欧間の政治安全保障協力について意見交換を実施し、分析に役立てた。 5。 同時に、本年度の研究成果については、順次、活字論文として発表された。
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