本研究は、1996年10月の総選挙の結果についての2年度にわたる計量的分析を主題としている。初年度の97年度は、選挙結果を市町村別に収集し、それを前回の総選挙や参議院選挙の結果と比較するためのデータつくりに主眼がおかれた。市町村別の選挙結果は、各都道府県の選挙管理委員会の発表する記録しかなく、また、市町村の合併や小選挙区への分割等の詳細、さらに選挙時における各党の選挙協力や候補者の運動などについては、現地で情報を収集するほかないため、全国をいくつかのモデル地区にわけ、できるだけ現地に赴き、情報の収集に努めた。対象としたモデル府県は、札幌、宮城、埼玉、東京、神奈川、新潟、兵庫、広島、高知、福岡、鹿児島の11都道府県である。これらの収集したデータは、スキャナーをつかってコンピューター入力したが、スキャナーの精度に問題があり、データの規格をそろえ確定するのに、かなりの努力を必要とした。なお、96年度の総選挙についてのデータは、朝日新聞社が新たに発売したCD-ROMを利用した。98年度は、前年度に収集した数量的データや情報を整理、分析しまとめる作業を行った。九六年度の衆議院選挙の結果を、モデルとして選んだ地域を重点的に、多変量解析などの手法を用い、また推移分析などの手法に頼りながら、参議院選挙との比較において分析をおこなった。なお98年度には、参議院選挙が行われたので、そのデータも入手し、95年度のデータと重ねて分析をおこなった。分析の結果は、速やかに「立教法学」などを通じて、発表される予定である。
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