今年度の研究は第一段階、即ち1910年以前の日本に植民地制度を作るため、欧米から受けた影響について焦点を当てた。先ず西洋、特にフランス、イギリス、ドイツ、及びアメリカ、の植民地制度を調べ、当時の日本知識人の植民地に関しての発言を見、欧米から受けた影響を検証した。特に岩倉使節氏に参加した人々の意見等を読み、欧米からの影響が大である事が明確となった。次にこの影響は日本の朝鮮併合以前の植民地経験に現れているかを調査し、この制度を欧米の植民地経験と比較した。現在までの研究結果は次の3点である。 1)日本の知識人は植民地制度の例として西洋の国々の外在的ではなく、内在的な植民地(outer vs.inner colonialism)を利用したケースが多いこと。欧米の影響を調査するならアフリカ・アジアのケースよりも欧米の延長主義(例えばドイツのアルザス・ロレ-ヌの植民地政策)の例が日本の植民地制度には適応されること。 2)日本の植民地政策は内在的で、非大和民族(例えば琉球列島、蝦夷島や明治維新以降の旧蕃のそれぞれの民族)を同化することであること。 3)1985年から内地で作成した制度の主な部分を台湾植民地に輸出したこと。 来年度の研究は第二段階、即ち日本の朝鮮植民地の統治制度を中心に調査する予定である。特にこの段階は1910年代〜1920年代、つまり寺内正毅から斎藤実の両朝鮮総督の時代までを調査する。この調査は今年度の研究結果が日本の朝鮮植民地にも適応されるという前提で、次のポイントを詳細に調査する。 1)朝鮮及び朝鮮人に対しての日本人の印象。 2)この印象を元にして朝鮮人を日本化するために3つの手段。a)朝鮮及び朝鮮人に対しての日本人の印象。b)マスメディア(主に新聞)、c)朝鮮人の内地研修旅行。
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