今年度の研究は第三段階、朝鮮人の反応について調査を行った。 これは地理的、政治的、また一般生活により反応はさまざまであった。 資料は、総督府に提出された朝鮮人による1920年代の日本植民地政策についての意見書、雑誌に投稿された論文、日記等、さらに朝鮮語の新聞「東亜日報」の記事を利用して、独立の概念、日本の朝鮮統治政策、朝鮮人の文明という三つのポイントで、朝鮮人の日本統治下の植民地に対しての反応を調査し、このプロジェクトを終了した。 この研究の結果は、以下の4点に絞られる。(1)朝鮮人の日本の植民地政策に対しての反応は多岐にわたり、急進独立派(例えば共産主義者等)から日本植民地政策に協力した親日派まであり、各グループの朝鮮人と朝鮮半島に対してのイメージや思想は大きく異なっていた。 (2)「東亜日報」はこの両極端の中でも、いわゆる漸進主義に属する文化民族主義者の思想に似た意見を発表した。 朝鮮は直ちに独立はできないが、近い将来に独立を獲得するために準備をする必要がある。(3)朝鮮の近代新聞史をみると、新聞は日本人の朝鮮半島での活動を厳しく批判する一方で、日本と朝鮮の将来を分けては考えられないと認め、日本人が朝鮮人を平等と考えるならば両国の協力関係を作れると述べた。 (4)日本人は朝鮮人との関係を再考できなかったために朝鮮人のサポートが得られず、同化主義政策は1920年代末までは成功しなかった。 この絶望感は日本人だけではなく、親日派の朝鮮人も味わい、意見書等で総督府に注意を促した。
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