第二次世界大戦後に実施された経済制裁の事例について、(1)国際機関(国際連合、地域的国際機構など)が決定・実施した経済制裁、(2)国際機関と連携して実施された多国間ベースの経済制裁、(3)国際機関が関与しないで実施された多国間ベースの経済制裁、(4)二国間ベースの経済制裁の四つのタイポロジーに分類し、それぞれの分類項目ごとに、以下の手順で調査・研究作業を実施した。 1・国際連合が安全保障理事会や総会などの決議に基づいて実施した経済制裁、例えば朝鮮戦争勃発後の対中国・北朝鮮・モンゴル制裁や人種差別政策をめぐる対南アフリカ共和国制裁、さらには対南ロ-デシア制裁、湾岸戦争後の対イラク制裁などの制裁事例ごとに加盟各国の態度変化を時系列的に追い、データ・ベース化を行った。 2・冷戦の文脈で実施された対共産圏輸出統制委員会(ココム)による共産圏の経済「封じ込め」政策の実施を経済制裁の適用と解釈して、その実施の態様の変化、加盟各国の態度変化、「封じ込め」対象の国々の対応の変化を時系列的にトレースし、データベース化を進めるとともに、公開済みの日本の外務省文書の複写収集と分析を通じて日本のココム加盟に至るまでの同盟政治の実態の解明を行った。 3・地域的国際機構と連携して実施された多国間経済制裁の事例を摘出し、例えばフォークランド紛争の際の欧州経済共同体(EEC)による対アルゼンチン制裁やアラブ連盟によるアラブ・ボイコットなどの事例について、国々の態度変化、制裁内容の変化、被制裁国の政策変化について時系列的にデータ・ベース化を行った。 4・二国間ベースで実施した制裁事例として、アメリカによる対キューバ制裁、対イラン制裁の内容の変化、関係諸国の反応の変化などについてデータ・ベース化を実施した。
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