研究課題/領域番号 |
09620080
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
中谷 猛 立命館大学, 理工学部, 教授 (20086440)
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研究分担者 |
巣山 靖司 大阪外国語大学, 教授 (20030132)
田口 富久治 立命館大学, 政策科学部, 教授 (50061841)
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キーワード | 重層的ナショナリズム / 国民国家 / 「ナショナルなもの」 / エスニック / グローバリゼーション / シオニズム / 反ユダヤ主義 |
研究概要 |
現代世界に生じている複雑な重層的ナショナリズムは旧来の伝統的ナショナリズム理論では到底説明し得ない。この新しい動きとは欧米諸国民国家におけるエスニック運動であり、また超国家主義的傾向と連動する定住外国人排斥の激化である。一方、発展途上国、たとえば東南アジアの部族紛争や分離独立運動の多発化である。 世界規模で拡大する総体としてのナショナリズムの動向がいわゆる「グローバリゼーション」や「ボーダーレス化」と絡み合う。このような状況のもとに展開される重層的ナショナリズム、ナショナリズム/トランス・ナショナリズムには「ナショナルなもの」・「エスニック」と呼ばれるものが中核にあり、この核心部分の考察なしに様々な紛争解決のための理論は構築し得ないだろう。広くこれらの部分が文化と関連する以上、理論形成は歴史的背景の吟味がいる。 当研究課題の初年度に当たる平成9年度では、各研究分担者はこの関連性を重視し主権国家体制の問題整理とそれに関連する言説の分析を行なった。巣山「国民国家とシオニズム」(10月)、富沢・加藤「近代フランスの自由とナショナリズム」(6月)、松尾「L.-F.セリーヌの反ユダヤ主義」(10月)。次で現代アメリカのエスニックの実証的、研究高城「アメリカにおけるエスニシティーの諸問題」(1月)、さらに国際化の超勢を歴史的に分析して、問題整理した中谷「国民国家とグローバリゼーション」(7月)、木下「国境を越えるナショナリズム」(12月)の研究報告が行なわれた。こうした諸報告をもとにナショナリズムの重層化の様相の把握に務め、この現象の解明に有効な基礎理論構築に向けての作業を行なった。
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