研究課題/領域番号 |
09620080
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
中谷 猛 立命館大学, 法学部, 教授 (20086440)
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研究分担者 |
南野 泰義 立命館大学, 国際関係学部, 助教授 (60268141)
巣山 靖司 大阪外国語大学, 教授 (20030132)
田口 富久治 立命館大学, 政策科学部, 教授 (50061841)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | グローバリゼーション / 国際化 / ナショナリズム / エスニシティ / トランス・ナショナリズム / 民族 / 地域紛争 / リージョナリズム |
研究概要 |
いわゆる「グローバリゼーション」や「ボーダーレス化」の進展のもとで展開される重層的ナショナリズム、ナショナリズム/トランス・ナショナリズムには、「ナショナルなのも」、「エスニックなもの」と呼ばれるものが中核にあり、この核心部分の考察なしに様々な紛争解決のための理論は構築し得ないであろう。広くこれらの部分が文化と関連している以上、理論形成は歴史的背景の吟味が不可欠である。また、民族・ナショナリズム問題は古くから存在するが、同時に現代においてその問題解決は、困難な状況にある場合が多い。その原因の一つに各々の問題に文化や歴史的要素が深く絡んでいるからで、その次元との関連を視野におさめることなしに、ナショナリズム理論の脱構築の手がかりは容易に見出し得ないと思われる。本共同研究は以上の問題関心より各々テーマに取り組んだ結果として、以下のような研究成果を報告する次第である。 平成9年度は、これまでの理論的な整理の到達点を踏まえつつ、アメリカやヨーロッパなどの先進地域アジア・アフリカなどの開発途上国で起こっている民族・ナショナリズム問題の事例について具体的かつ歴史的な実証研究を展開することによって、民族・ナショナリズム紛争解決のための理論開発に必要な基盤を整備していくことを研究会の課題した。平成10年度は、平成9年度の研究を踏まえつつ、研究会活動を中心に研究成果を発表し、それぞれの個別テーマにしたがって公表した。年度の前半は民族・ナショナリズム研究の新しい動向について、巣山靖司大阪外国語大学教授、南野泰義立命館大学助教授が中心となって、整理と批判的分析が行われた。田口富久治立命館大学教授、中谷猛立命館大学教授が日本の政治学史を整理しつつ、民族、国家、ナショナリズムに関する学説史をまとめられた。後半では、主にアジア、アフリカ、中東地域及びイギリス、フランスなどの先進地域の民族・ナショナリズム紛争について、紛争解結論に関連する研究報告が行われた。とりわけ、南野助教授が担当した「北アイルランド問題の起原とその構造-2つのナショナリズムの対立-」では、英国における地域紛争解決にむけた最新の理論が紹介され、またベルファスト西部地区でのフィールドワークを踏まえたカトリック系住民のナショナリズムとプロテスタント系住民のナショナリズムの相克について実証的な研究が報告された。また、南野助教授が中心となって大学院生の協力を得つつ、民族・ナショナリズム研究に開する基礎文献について、データ・バンク化が進められた。しかし、本共同研究は、民族・ナショナリズム理論研究および紛争処理研究を進めるための基盤づくりという性格をもっており、掲げた研究目的が十分に研究分担者によって達し得たとは言い難いが、これまでの研究成果と論点を整理することに取り組んだ2年間の研究の成果を発表することかできた。
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