研究概要 |
土地所有住民が彼等の効用を最大化するように都市の最適なサイズを決定するという視点から都市成長管理の分析を行なった。従来の分析を越える点は特に,i).異なる所得階級と生産活動を導入している,ii).外部性を扱う、iii).公共財供給を考慮している,等の点であるが,その主要な研究結果を要約する。 (1). 都市の生産量が賃貸住民の供給する労働サービス量に依存し,その労働に対し,限界生産物の価値に等しい賃金が支払われ,企業利潤が土地・企業を所有する住民に分配される下では,最適な都市サイズは生産を考慮しない場合よりも大きくなる。しかし分権的市場で決るサイズよりも小さい。 (2). 人口増による混雑の外部性があり,その外部性を土地所有住民のみが知覚する場合は,成長管理は外部性が無い場合に比して厳しくなる。しかし,全ての住民が外部性の影響を受けるならば,都市内交通費用が相対的に高いとき,あるいは社会全体で賃貸住民の所有住民に対する比率が高いときは,都市サイズは外部性が無い場合に比べてかえって増加することがあり得る。これは成長管理を行なう都市での土地需要が増加し,地代を引き上げるからである。 (3). 決められた水準の公共財サービスを供給し,その費用は所有住民のみが負担するとき,都市の最適な大きさは,公共財が無い場合に比べて小さくなり,公共財の供給費用が小さい程そうである。
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