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1998 年度 実績報告書

不況をともなう動学的国際マクロ経済モデルの構築と経済政策の国際的波及

研究課題

研究課題/領域番号 09630004
研究機関東京工業大学

研究代表者

小野 善康  東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (70130763)

キーワード2国貨幣経済 / 動学的最適化 / 失業 / 非飽和的流動性選好 / 国際資産分布 / 直接投資
研究概要

1. 2国貨幣経済動学モデルを構築し,各家計が資産として自国通貨と自国・外国の収益資産を選択するという前提で,非飽和的な流動性選好を持つ家計の動学最適化行動を定式化し,その経済動学と定常状態を調べた.その結果,対外資産を多く保有し,生産性の高い豊かな国ほど失業が発生しやすく,貧しい国ほど完全雇用が成立しやすいことを明らかにした.また,失業下では,完全雇用の場合とは異なり,対外資産を多く保有し生産性の高い国ほど失業が深刻になり,かえって消費が減少してしまうことを示した.さらに,流通機構の非効率性が生み出す内外価格差と失業の発生状況,中央銀行による為替介入の効果の有無,2財モデルの場合のマーシャル・ラーナー条件(為替レートと経常収支の関係)の正否など,国際マクロ経済学の諸問題を,動学的最適化を前提とする不況モデルの枠組みで再検討した.これらの結果については著書の1にまとめた.
2. 実際に,家計が非飽和的な流動性選好を持つことを裏付けるための研究として,小川一夫教授(阪大・研究協力者)および吉田あつし助教授(大阪府大・研究協力者)とともに,各県別の資産と消費量,日経レーダーによる個別家計の資産と消費データを使って,実証研究を行った.その結果,流動性選好の非飽和性を強く裏付ける実証結果が得られた.
3. 雇用を生み出す直接投資がある場合の国際経済モデルを構築し,直接投資に対する税制やローカルコンテンツ規制などが受入国に与える影響を調べた.さらに,生産者と販売者が異なり,それらが自国企業と外国企業である場合の,最適関税の性質についても調べた.これらの研究は,S.Lahin教授(Essex大・研究協力者)とともに行い,研究発表の項の雑誌論文として挙げた,5つの論文としてまとめた.今後,著書としてまとめる予定である.

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Yoshiyasu Ono, S.Lahiri: "R & D Subsidies under Asymmetric Duopoly:A Note." Japanese Economic Review. 50・1. 118-125 (1999)

  • [文献書誌] Yoshiyasu Ono, S.Lahiri: "Optimal Tariffs in the Presence of Middleman." Canadian Journal of Economics. 32・1. 55-70 (1999)

  • [文献書誌] Yoshiyasu Ono, S.Lahiri: "Tax Competition in the Presence of Cross Hauling." Weltwirtschaftliches Archiv (Review of World Economics). 134・2. 263-279 (1998)

  • [文献書誌] Yoshiyasu Ono, S.Lahiri: "Foreign Direct Investment, Local Contents, and Profit Taxation." Economic Journal. 108. 444-457 (1998)

  • [文献書誌] Yoshiyasu Ono, S.Lahiri: "Asymmetric Oligopoly, International Trade, and welfare:A Synthesis." Journal of Economics. 65・3. 291-310 (1997)

  • [文献書誌] 小野 善康: "国際マクロ経済学" 岩波書店, (1999)

  • [文献書誌] 小野 善康: "景気と経済政策" 岩波新書, (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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