ロシア、中国を中心に移行経済国の現実的な中・長期的な経済発展プログラムを動学的多部門モデルのフレームワークにより明らかにし、日米欧の経験を考慮しながら、環境制約を導入した持続的発展モデルを検討するため、今年度は基本的データの収集と推計を行った。具体的には; 1)経済、環境データの利用可能性から、対象国としては、日本、アメリカ、ドイツ、イギリス、ロシア、ハンガリー、中国のデータについて調査・収集を行った。特に、それぞれの国の経済構造の特徴を明らかにするため、各国の産業連関表の検討を行った。 2)長期経済発展モデルを検討する際、貿易・直接投資を通じた国際分業の進んだ現状をふまえるために、国際産業連関表の利用が不可欠である。今年度は、通産省で作成された日米欧の国際産業連関表(1985年基準、19990年基準)とアジア経済研究所で作成された東アジア各国の国際産業連関表の検討し、磁気媒体からのデータの引き出しと整理、データベース化、及び逆行列計算など産業連関分析用のプログラムの開発を行った。 3)対象国の環境負荷の構造をみるために、科学技術庁で作成された大気汚染に関するアジアに関する調査を中心にしながら、化石燃料の消費推計から二酸化炭素、硫黄酸化物、窒素酸化物などの排出量推計の方法を検討した。そのパイロットモデルとして、神奈川県の経済と環境の関係を地域産業連関分析と結合させた研究を行った。
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