研究概要 |
平成9年度に行ったロシア、中国を中心とした移行経済国の中・長期的な経済発展プログラムのサーベイと経済・環境に関する基本的データの収集と推計に引き続いて,今年度は,持続的発展モデル構築のための基本作業を行った。具体的には; 1) 長期経済発展モデルを検討する際、貿易・直接投資を通じた国際分業の進んだ現状を検討する上で,非競争輸入型の国際産業連関表の利用が不可欠である。今年度は、アジア経済研究所で作成された1990年時点の東アジアの国際産業連関表をもとに,国際分業と環境負荷の国際収支に関する基礎的考察を行った。 2) 対象国の環境負荷の構造をみるために、化石燃料の消費推計から二酸化炭素、硫黄酸化物、窒素酸化物などの排出量推計の方法を検討し、そのパイロットモデルとして、神奈川県の経済と環境の関係を地域産業連関分析と結合させた引き続き研究を行った。 3) 移行経済国特にロシアの環境問題の中では、原子力発電所を中心とする放射能汚染が重要な問題となっている。そこで,EUで行われている放射能汚染事故の経済的影響評価に関するサーベイと若干のケーススタディを行い,長期発展モデルに社会的費用として組み込むべきことが明らかにした。 4) 移行経済国の長期発展モデルを検討する上では、欧米からの外国直接投資FDIが大きな役割を果たすので,最近の国別・業種別投資状況,環境との関連状況についてEBRD,IFC,IMFなどの研究のサーベイを行い,環境保全を念頭に置いたFDIを経済発展モデルに組み込む必要性を明らかにした。
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