研究分担者 |
古沢 泰治 横浜国立大学, 経済学部, 助教授 (80272095)
中西 訓嗣 神戸大学, 経済学部, 助教授 (20237324)
多和田 眞 名古屋市立大学, 経済学部, 教授 (10137028)
矢野 誠 慶応大学, 経済学部, 教授 (30191175)
下村 和雄 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (60116217)
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研究概要 |
日本は過去10数年にわたって諸外国から,貿易不均衡への対策の一環として,規制緩和に関する強い要請(いわゆる外圧)を受け続けてきている.また,このような外圧を反映して,徐々にではあるものの国内の規制緩和が進みつつあるのも事実である.これまで規制穏和の問題では,国内市場におけるミクロ経済学的な側面が強調されてきたが,なんらかの形で国際経済学的な側面も兼ね備えているということをこうした事実は示唆している.本研究の目指すものは,このような国内市場における規制緩和と国際市場の関連を明らかにすることである. 本年度の研究では,規制緩和と国際収支の関連を明らかにするため,動学的貿易モデルの構築が目指されてきた.このような目的に則したモデルを作るためには,規制が課される国内市場と貿易収支の分析を可能とする国際市場のモデルが融合されなくてはならない.国際収支の問題を扱うためには動学的モデルが必要とされるため,モデル構築上とくに注意されるべき点は,二つの市場を明示的にモデルに埋め込みながら,モデルを十分に単純化し,分析可能性を保たねばならない点にある.こうした点に考慮しながら、いくつかの動学的国際貿易モデルが構築され,分析された.とくに,国内市場の非競争制がその国の貿易収支の黒字に貢献する傾向がある点が明らかにされたことが,特筆されるべき結果である.現在,この結果はいわゆる小国の仮定のもとで導出されているに過ぎないので,類似した結果を導く可能性を大国モデルで探ることなどが次年度の研究に残された重要な課題である.
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