ジョージェスクレーゲンの消費者選考理論は、新古典派経済学の最重要な貢献と見なされてきた。ところが、彼の理論が仮想市場評価法(CVM)の再評価に貢献できる可能性についてこれまで十分な研究がなされてきたとはいいがたい。我々の研究は、ジョージェスクレーゲンの消費者選考理論の中で標準理論に取り入れられていない部分を詳細に検討し、資源環境財の貨幣評価に批判的検討を加えることを目的にする。 まず、飽和領域が凸閉領域である一般的なケースについて、効用関数の積分可能性について検討した。これは、ジョージェスクレーゲンが研究したヴォルテラのパラドックスの一般化であり、消費者理論の4つの基本的仮定を満足しない場合に標準的理論がどのように修正されるかを明らかにした。 また、欲求の階層性のひとつの数学的表現である辞書式順序について詳細に検討した。辞書式順序は、デデキントの仮定と稠密性の仮定を満足するが、線形性の仮定を満足しないことが証明された。たいていの資源境財は、欲求の階層性を持つ財のひとつであり、CVMの安易な適用になじまないことも証明した。 最後に、CVMの基本的前提となっている貨幣の限界効用一定の仮定が、どのように導かれるのかを証明した。これによれば、マーシャルのアプローチを資源環境財に適用できないことが証明できる。 これらの成果は、1998年11月フランス(シュトラスプール)で開催される国会会議で発表されることが決定した。
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