平成10年度では昨年度求めた、正規分布の分散(標準偏差σ)の遂次検定の最適ベイズ解を如何にしてブラウン運動の平均検定問題へ帰着するかに付いて更に考察を重ねた。具体的にはHo:σ>1をHi:σ>1に対して検定する遂次決定方式を考える。誤った決定に対する損失をk|σ-1|で定義するときのベイズ解はバックワードインダクションで求められるが、この結果をチャーノフ・ペトカにより求められた平均ベイズ検定で近似することである。今年度は、離散時間問題を連続時間問題で近似する際に用いられるホーガンの定理を適用したがバウンダリーの幅を超える修正項がでてくる等、実際上可成り問題があることが判った。そこで今年度はその修正をエッジワース展開を用いるなどの方策をもって解決を図ることにしてきたが、現在のところ満足のゆく解答は得られてない。一方連続近似の問題として今年度はブラウン運動の境界交差問題と正規ランダムウォークのそれとの比較を行った。ブラウン運動に関してはSiegmundの方法を用い2次の漸近展開が求められた。これとTakahashi-Woodroofeの結果を比較することにより現在Chernoffの近似法の精度を別の角度から分析している。
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