研究概要 |
統計調査の最前線の情報は文書化されていないことが多いので,担当者から直接情報を収集する必要がある。このため月1回程度の頻度で経済統計研究会を開催し,今年度は計14人の講師の講演を聴くことができた。こうした最新の情報を踏まえて検討を進めた結果,次のような成果が得られた。 (1) 実査・調査票回収・デニタの入力段階での効率化 調査票の回収,データ入力段階での効率化を考えると,磁気媒体やインターネットの利用が必要となる。実査時点でのコンピュータの利用に関しては,(1)調査結果の回収の早期化,(2)国・県双方のレベルで利用可能なコーディング・システムの構築,(3)企業による自動申告システム,--についての検討が必要となる。これらはいずれも統計調査の早期化に貢献すると考えられる。しかし,回線使用料の増大やデータ提供の有償・無償の問題など検討課題も多い。この問題は,次の調査結果の集計・公表と本質的な関連を持つ。 (2) 集計・公表段階での効率化 集計段階でのデータの効率的な利用の可能性として,企業・事業所のデータリンケージについて,(1)平成8年に実施された「企業・事業所統計調査」に基づくビジネス・フレームの構築,(2)既存統計のリンクによる効率的なデータベースの構築,(3)データ分析における他のマッチング方法との比較,--が重要な検討課題となる。いずれの課題においてもコンピュータによる分析,実験は不可欠である。また,データリンケージには複数の省庁にまたがる指定統計を使用する可能性が大きいため,統計法に基づく制約に配慮しなければならない。そのため,今後,法律面の専門家の意見も聴取しなければならないであろう。
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