電子的ネットワークは業界を横断して構築され、さらに、生活世界にまで及び始めた。その結果、情報の流通と共有がすすみ、企業のビジネス・ドメインは生活者の日常生活シーンにまで延びて、新たな産業フロンティアを形成し始めている。ネットワークを利用したユーザサポートは、そのような産業フロンティアを支える新たな仕組みである。それは、従来の体制に比して、コストや即時性という点でも優れているが、ユーザ情報や生活者のニーズの把握という点で革新的なものである。だが、ユーザとメーカーのコミュニケーションの場が、円滑に機能するためには、ユーザとメーカーを橋渡しするようなパーソナリティが必須の存在である。このようなパーソナリティは、従来「コーディネーター」とか「カタリスト」とか呼ばれてきたものであるが、それが備えているべき資質や機能は、養成可能なものと天性のものとに分かれる。従って、優秀なコーディネーターの発見・獲得はきわめて重要なファクターである。それと同時に、訓練・養成の仕組みづくりが急務である。生活情報ネットワークの構築は、インターネットの発展により、企業が運営する形態から、自治体や第三者が構築し、運営するものへと移り始めた。コミュニティ・ネットワーク、あるいは地域ネットワークとしてその構築の必要性が認識され始めたのである。構築の際に参照されるべきものは地域情報化の実状である。地域情報化はこれまで行政主導であったが、これからは生活者の問題解決に役立つものとして、自治体と生活者との協働作業として行わなければならない。その際重要な役割を果たすのが、NPOであり、企業・生活者ネットワークの結節点となるものである。
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