研究課題/領域番号 |
09630042
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
竹野 忠弘 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (80216928)
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研究分担者 |
コンダカール・ミザヌール ラーマン 日本福祉大学, 経済学部, 助教授 (10281487)
小井川 広志 名古屋学院大学, 経済学部, 助教授 (50247615)
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キーワード | 人材開発 / 開発政策 / 技術移転 / 技能育成 / 雇用政策 / 人事労務管理 / アジア経済 / 工業化 |
研究概要 |
開発経済政策論において、人材開発政策は、国内労働力人材の質の向上を促すことにより、その付加価値生産性を向上させ、国民経済全般の経済成長を促す機能を担うと位置づけられている。こうした人材開発政策もしくは教育政策の事例として、世界銀行は東アジア9ヶ国を取りあげた(『東アジアの奇跡』1993年)。世銀報告書の発表当初から、東アジア諸国の成長構造については、労働力人材の生産性の向上による質的な成長なのか、単に労働力や資本設備の投入の増加による量的拡大なのかをめぐって、統計的な試算に基づく議論がなされてきた。しかしながら、こうした論争の間、また本研究初年度の1997年夏に、東アジアの諸国では通貨危機その後の経済危機、政情不安に見舞われていった。その結果、質的か量的かという成長構造に対する議論以前に、そもそも東アジアの経済発展そのものが存在するのか、もしくは「幻」であったのか、という問題にまで議論が差し戻されることになった。通貨危機に関する学界の研究は、当初の、国際的資金の管理やアジア各国の金融政策運営能力といった金融管理政策上の技術的な問題に対する議論を越えて、海外直接投資流入減退後の短期資金依存体質への転化要因の解明という、東アジア諸国の国内産業金融経済構造分析に歩みが進められた。本研究では、人材開発政策については、「質的な」効果よりも、研究着手当初より労働力人材需給ギャップの供給側による調整効果に着目してきた。初(平成9)年度および次年度においては、高付加価値部門への就業可能性拡大および就業後の所得向上効果や、投資誘致効果、換言すれば政策実施による外資誘致効果による、経済成長への効果が大きいことを議論してきた。2(平成10)年度ならびに最終(平成11)年度においては、所得向上効果について検証したが、誘致効果については、資料上の制約ならびに外資誘因の多面性による検証の困難さのため人材開発政策効果の一つとして付記、指摘するに留めた。なお、アジア通貨経済危機について、世銀報告の誘致効果という側面からあわせて検証した。
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