公共j投資の景気刺激策としての有効性に関する実証研究を進めるための基礎的研究を進めた。マクロレベルでは、先に開発した短・中期計量経済モデルのデータ更新を行うと同時に推定、テスト作業を進めている。特に、公的部門の拡張、国際収支表の改訂に伴う、国際収支ブロックの変更を進めている。また、景気動向との関連では、米国、Yale大学のRay.Fairが開発したシミュレーションプログラムを利用し、Event Probabilitiesの推定を試みた。ただ、本モデルは大きいために分散・共分散行列が大きくなり導出に時間がかかることから、小規模モデルによって検討中である。同時に、推定方法に関する基礎的研究として撹乱項が不均等分散であるときの推定、検定について検討した。地域レベルの基礎的研究では、公共投資(社会資本)の九州地域、及び、九州各県のデータベース化を進めた。フローと社会資本ストックの情報を蓄積している。ただし、福岡交流圏計量経済モデルに利用する公共投資のデータベース化は次年度に残されている。また、地域計量経済モデルによる公共投資のシミュレーション分析を進めるための基礎的データベースとして地域総合ファイル、日本および九州地域の貿易データのデータベース化を進めた。これにより、県民経済計算、人口、雇用、貿易に関する情報が得られるようになっている。これらの情報は、すべて、Windows NT/Raidシステムに蓄積されており、検索プログラムも利用可能である。公共投資の経済効果を分析する上で、CGEモデルの導入を意図しているが、基本的なシステムとしてオーストラリアMonash大学で開発されたGEMPACシステムによるプロトタイプモデルを動かすにとどまり、現時点では、日本、地域経済分析を進めるに至っておらず、次年度での開発となっている。
|