本研究は、景気刺激策としての公共投資の地域経済における経済効果を実証分析することを目的としたものである。福岡県、九州地域を焦点に計量経済分析を進めるため、経済情報のデータベース化を進めた.地域の情報は、過去にさかのぼることは非常に困難であることから、1980年代、1990年代を中心にデータベース化をおこなった。九州地域(各県毎)の県民経済計算に代表されるマクロ経済データ、より長期的な人口のデータまた、本目的のために、工業統計表に基づく製造部問の資本ストックの推計を行い、公共投資に関しては、「行政投資」(自治省)を参考に、最近、経済企画庁を中心に進められた社会資本ストックの推計に依拠しつつ各地域毎の時系列データの整備を行っている。また、モデル作成のための補足情報として、九州地域および全国の輸出、輸入のデータベース化を進めた。これらは、パソコンサーバーを通じて検索可能である。この情報に基づき、九州地域の計量経済モデルの作成を進めた。基本的なモデルの構築に当たっては、当初、福岡県を中心として、ダミー変数を用いた地域モデルを試みる事としたが、シミュレーションに幾つかの不便さが生じたため、各県毎のコンパクトなモデル化を進めた、公共投資の経済効果をみるため従来の分類方法ではあるが、産業基盤関連、生活関連投資と各産業への生産効果を分析するチャネルを導入している。ただ、近年の大幅な経済環境の変化から、十分なシミュレーションが行えるほどにモデルが完成しておらず、詳細な分析には時間が必要であり、現在モデルの推定、テストを進めているところである。また、公共投資の実績と短期的な景気変動との関係を分析するため、景振指標による分析を進めStock=Watsonタイプのモデルによる景気観測が有効であることを得ている。
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