二一世紀の課題は社会保障と雇用の柔軟化にあるといわれている。その鍵を握るのが、女性である。女性の労働参加が進めば、課税ベースがふえる。それが税収をふやし、社会保障における世代間の助け合いを進める。本研究では最近顕著である雇用の柔軟化に焦点をあて、なぜ非正規労働者がふえているのか、その実態と要因について考えた。また、この雇用の柔軟化が女性の人的資本の形成にどのような影響を与えているのかについて分析した。 日本には正社員の代わりに非正社員を雇うことによって人件費が削減できる仕組みがある。非正社員には年功的な賃金を支払う必要がなく、また、税制度・社会保障制度についても、被扶養者であれば、(収入を非課税限度学内に抑えることによって)加入義務がない。こういった仕組みが労働者の非正社員化を進めている。 興味深いことは、正社員よりも非正社員で仕事の満足度が高い。時間の柔軟度を求めているひとが多いからだ。しかし、最近は正社員になれなくて仕方なく非正規の仕事を選んでいるひとがふえている。 本研究では、正社員の仕事の枠組みのなかに時間の柔軟度を組み込むことを提言した。これによって、人材のより有効な活用が可能になり、また、課税ベースの拡大が社会保障制度の充実につながる。
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