平成11年度の本研究は、平成11年4月から平成12年3月にかけて6回の「情報システム投資研究会」を、東京八重洲ホール会議室および関西大学天六学舎において開催して、平成8年度、平成9年度、および平成10年度に実施した「金融情報システム投資アンケート調査」の回答として得られた86銀行の個票データの統計解析の結果と、当該銀行の東京証券取引所に報告されている財務諸表のデータとの間に整合性があるかどうかを検討することから開始された。その結果、個票データの情報システム投資金額と財務諸表に明示されているソフトウェア資産総額の変化額の間に統計的に有意な相関関係を発見することが出来なかった。そこで、われわれは一つの行動仮説を立てた。まず、個票データの情報システム投資金額と財務諸表に明示されているソフトウェア資産総額の変化額の間に統計的に有意な相関関係を発見することが出来た諸銀行を「情報開示型銀行」と名付けることにする。これに対して、統計的に有意な相関関係を発見することができなかった諸銀行を「情報非開示型銀行」と名付けることにする。われわれの立てた仮説は、この二つの銀行群の経営戦略には明確な相違が存在するというものである。 われわれはこの行動仮説の検定に用いるデータを得るために、「金融情報システムアンケート調査票」の再設計の作業を2回の研究会で行った。再設計されたアンケート調査は2000年3月に実施された。
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