研究課題/領域番号 |
09630065
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
森 徹 名古屋市立大学, 経済学部, 教授 (60134160)
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研究分担者 |
手嶋 正章 名城大学, 都市情報学部, 教授 (20145759)
田岡 文夫 京都教育大学, 教育学部, 教授 (50144407)
辻 正次 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 教授 (90029918)
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キーワード | マルチメディア / 地域情報化 / tele-medicine(遠隔医療) / tele-education(遠隔教育) / tele-work(在宅就業) |
研究概要 |
今年度の調査・研究では、最近、高齢化の進行を背景として多くの自治体が取り組んでいる医療・保健面での情報化施策、とくに遠隔医療・在宅医療(tele-medicine)の実態を調査するとともに、こうした施策の浸透がどのような効果を持つのかを計量的に推計する試みを行った。 まず、実地調査に関しては、長野県南信濃村の村営CATVを利用した在宅医療支援システム、山形県最上町のTV電話を用いた在宅医療・介護システム、岩手県川井村のデータ通信網を利用した地域健康管理システム、そしてデータ通信網・TV電話・CATVを併用して総合的な在宅医療・健康管理支援システムの構築に取り組んでいる岩手県釜石市の4地域を調査した。 これらの実地調査と昨年度までに調査した施策の実例(兵庫県五色町、加古川市、三重県紀和町など)にもとづいて、システムの目的別(在宅医療・介護型、在宅健康管理型、地域健康福祉管理型)および利用するメディアの形態別(CATV放送型、CATV-LAN型、TV電話を含むISDN型)に医療・保健情報化施策の類型区分を行い、システム構築の目的や経緯とメディアの選択との適合が、これまでの研究で明らかにしてきた施策推進における人的要素や資金面・技術面で国・県の施策との連携とともに、施策の成功の重要な要素になりうることを明らかにした。 他方、これらの遠隔医療システムの浸透がどのような経済効果を持ちうるかに関する計量分析の面では、遠隔医療・在宅医療の拡大により高齢者の社会的入院が抑制される点に着目し、CATVやISDNを利用したシステムの普及が2050年には2兆円弱の高齢者入院費の節約をもたらすことを明らかにした。このような推計は現段階では試算の域を出ないが、地域情報化施策の効果とその促進要因の関連性を明らかにするという本研究のねらいを実現する上で、重要なステップであるといえる。
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