成熟したソフト社会の中では、特許権、著作権、商標、映像権などの知的財産や無形資産が競争的市場において交換される。インターネットなどのメディアの中では、すでに、サイバー経済(Cyber economy)が発生している。しかし、知的財産をベースとした知的プレミア商品の市場価格決定メカニズムは解明されていない。さらに、組織内部で処理される知的財産の内部市場の決定メカニズも不明である。 本年度は研究の中間年にあたる。現時点で得られた研究成果を個条書きでまとめる。 (1)知的財産の価値評価を実施している企業は約25%(1万人規模以上の大企業では、45%)であった。 (2)知的財産の管理費用は、売上総額の約0.2%であるが、精密機械、電子・家電、一般機械、化学系産業では、0.4〜0.7%と大きい。 (3)知的財産からの収益を重視した、ライセンス・イン&アウトを行っている企業が増えた。 (4)知的財産の価格決定方式は未成熟である。業界内部においても、かつ、知的財産の種別においても標準化はなされていない。しかし、企業内部では内部市場を定めている企業が増えている。 (5)知的財産の組織間取引は、ロイヤルティ価格、あるいは、損害賠償価格などの移転価格にもとづいて行われている。しかし、多くの場合、知的財産の価値寄与度に関する算定は不安定である。
|