今回の基礎的研究から得られた成果は、次の7点にまとめることができる. (1) 1990年代にはいって「知的財産」という「サイバー空間」の産物が独立したものとして識別されるようになった。 (2) その評価基準は理論的に体系化されていない。価値評価の範囲においても同様のことがいえる.しかし、制度的な変革を後追いするように評価の手順が確立しつつある. (3) 知的財産に係わる統計データは未整備の状態である。今回の研究では、300企業の「知的財産に係わる統計データ」を解析することができた。今後、体系化されることを望む。 (4) 「知的財産の数量指標」として、条件付で「件数」を用いた。研究開発、売上高、管理コストなどとの間に「規模の経済性」が発生する。 (5) 「知的財産の価格」として、ロイヤルティ単価、特許出願単価、侵害賠償の平均単価などを試算した。 (6) 「知的財産のキャッシュフロー」と売上高の関係から判断して、休眠資産状態の知的財産(「休眠知的財産」)が多い可能性がある。 (7) 知的財産を取り巻く環境の変質を勘案した場合、「新たな評価基準の体系化」を推進する必要がある。
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