研究概要 |
1)研究費の支給の遅れという事情もあって、「設備々品費」による購入を予め行った後に「現地調査」を行わざるをえない事情もあり、今年度は鹿兒島・堺の地域調査に止まった。 2)鹿兒島調査は,尚古集成館・歴史資料センター黎明館,県立鹿兒島図書館を採訪,新資料を撮影・複冩することができた。 3)堺博物館を中心に堺市役所行政情報センターでの情報収集や資料入手をふまえて、市内戒島の「戒島紡績所」跡の史跡を検証することができて,原料・製品の搬出に絶好の場所の点を確認しえた。 4)残る「始祖紡」たる鹿島紡については,三井文庫所蔵史料を入手しえた。 5)これら「始祖紡」が共通して薩摩藩や江戸商人の開明的意欲のもとで,イギリスから紡績機械を輸入し,イギリス人技師の指導で綿糸紡績業を創始した点は十分に評価すべきであろう。鹿兒島紡も島津家の経営という特異な形態をとりつヽも,日清戦後迄断続的にも存続したこと,又経営史料の分析を通じて従来の「始祖紡」「二千錘」紡研究に付加しうるものと予想している。
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