為替・証券市場が効率的であれば、(1)為替の直物レートや証券の現物価洛は全情報を反映するからランダムでありその予想は不可能、したがって(2)超過利潤を得ることは不可能、つまり裁定が完全に行われ尽くしていて、超過利潤を得る裁定の機会が残存しない、他方、(3)先物、または先渡価賂は全情報を含むから、将来の直物価格の不偏期待値である。 本研究では、73年3月から95年11月までの円・ドル為替レートについて効率的市場仮説が成立するか否かを検討した。直物と1・3か月ものの先渡しの各レートを共和分法によってテストしたが、長期的な不偏性条件、つまり長期的な効率性仮説が成立するための必要条件は棄却されなかった。また、弱外生性をテストしたうえで、VECMの枠組みを用いて計測したところ、短期的な効率的市場仮説は成立しないとの結果が得られた。さらに構造変化が生じている可能性を考慮した計測も行ったが、結論は変わらなかった。 第2に、国債先物については、85年10月から96年9月までの132か月のデータを用い、効率的市場阪説が成立するときに実現する現物同等先物価格と現物価格の均等を、共和分関係の存否によってテストし、さらに共和分パラメータの値をdynamic OLS法によって推定し検定した。得られた結果によると、現物同等先物価格と現物価格の間に共和分関係があるが、共和分パラメータの値は現物同等先物価格と現物価格の均等を意味せず、効率的市場仮説が成立するとはいえなかった。
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