昨年度のパイロット調査の結果を踏まえ、調査票を策定し、大手小売企業の中でもGMS(一部CVS)を中心に調査票を送付し、主に食料品担当のバイヤーに対して本調査を実施した。 分析結果として商品政策に関して、地域需要優先的分権的購買体制、属人的購買基準が特徴としてみられた。さらに、複雑な商取引慣行のもとでの取引業務にバイヤーが忙殺され商品開発など本来のバイイング業務が遂行できない現状が明確となった。つまりバイヤーの新商品開発関連の業務と取引交渉業務への時間・人員配分を調査し、新規製品開発型購買政策か取引条件優位により仕入価格削減の購買政策かに分類できた。新規商品開発型購買政策とはIYの購買政策が代表的で、売れる商品を探索することにバイヤー業務を多くを傾注させている。これに対して取引条件優先型購買とは、IY以外の大手小売業者がおこなっており、バイヤーが商品開発ではなく取引条件を有利にすることに傾注している。したがって、“仕入条件"“物流"“店頭プロモーション"に関する事項の業務時間を費やしている。したがって、後者の購買形態では、商品選別は外部(卸・メーカー)に依存する傾向が発生し、利用する情報の種類も店舗情報の低い利用度がみられた。組織的構造について機能分散型購買形態と機能単一型購買形態に分類。 以上の研究結果から、次の仮説が新たに注目される。「単独型購買では保守的な購買形態となり、外部依存型の商品選別となるのではないか。一方、チーム型組織購買では購買に関して共同責任となりやすく、リスクを許容した購買活動を行う可能性があるのではないか。」さらに情報利用についても、情報のソースと種類について調査。売れる商品から市場情報をいかに吸収し、バイヤーが今後の商品開発、商品政策に活用しているのかについて今後調査を行っていく必要がある。
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