平成9年度基盤研究(C)研究計画書の「研究計画・方法」の欄に記してある通り、本年度のプランは、主に文献レヴュ-、面接、質問紙作成、およびパイロット・スタディの実施という4つのゴールを達成することであった。本年度は、これらすべてを計画通りに遂行することができた。 パイロット・スタディのデータ入力はまだすべて終了していないが、入力済みデータからは、次のような結果が得られた。すなわち、仕事満足と家庭満足の間の関係は、様々な心理学的個人差変数と状況要因によってモデレートされる。具体的には、仕事生活と家庭生活の両方を同程度に人生において非常に重要な生活領域であると認識し、かつ自らの人生の舵を自分自身でとろうとする傾向の強い人は、そうでない人々に比し、両生活領域に対する態度を正相関的に関連させる傾向が高い。また、育児有給休暇等のファミリー・フレンドリーな組織政策は、小学生未満の子供を有する人々にとって、仕事生活-家庭生活間の関係をプラスにする状況要因として機能することが分かった。 上記の分析結果は、あくまでも披検査者数の少ないパイロット・スタディ(N=110)で得られたものであり、今年度以降に施行予定の本調査で追試していくつもりである。現在はまだ、その他の分析をパイロット・スタディのデータを用いて行っているところである。本調査の開始は本年度の後半になると思われます。
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