前年度は、ワーク・ファミリー・コンフリクト(WFC)、ファミリー・ワーク・コンフリクト(FWC)、職務満足(JS)、家庭満足(FS)、および転職意識(Turnover)といった諸変数間の関係に着目して研究を行なった。その結果、以下のような知見が得られた。 1.仕事での役割が過重で家庭での役割を果たせない状態(WFC)および家庭での役割が過重で仕事上の役割が果たせない状態(FWC)を経験すると、家庭満足度(FS)および職務満足度(JS)に対して負の影響を及ぼす。 2.低い家庭満足度と職務満足度は、それぞれ転職意識を増大させる効果をもつ。 以上の研究結果から、「今後の人事管理は従来のように職場要因だけを考慮するのではなく、家庭要因にも目を向けるべきだ」という提言が導ける。女性の職場進出によって伝統的な性役割意識が変容している今日、本研究は非常にタイムリーな話題を提供すると信じる。今後は実際問題として企業が家庭のどのような要因に介入していくべきかという問題に対して回答を得たいと思う。以上の研究結果は"A study on the relationship between work-family conflic and turnover"と題し、Journal of Applied Psychologyに投稿するための準備に入っています。.
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