2年間にわたって実施してきた本調査研究では、テレコムビジネスにおけるグローバル・アライアンスに関して、その実態を具体的に考究することが目的とされる。その結果として、次のような事情が明確となった。 米国では1996年電気通信法の施行によって、合従連衡のトレンドが加速しており、それによってグローバル・アライアンスに懸ける意欲がいっそう鮮明になっている事実が理解出来た。とりわけ、AT&Tと新興勢力とのライバル関係が、今後の焦点になると想定される。 他方において、欧州では、電気通信の自由化がEUレベルで原則的に1998年1月1日から実施されている。EUという統一した広大なテレコム市場にあって、メガキャリアと称される巨大なテレコム企業が力量を増している。それらメガキャリアは、グローバル・アライアンスの形成を志向しており、テレコムビジネスにおける寡占の傾向を強めている。 そうした国際環境下で、わが国のガリバー企業・NTTは、1999年7月をもって純粋持株会社方式による再編成される。これと同時に、NTTは国際通信事業に進出する権利を獲得した。ここに、「国際通信--国内長距離通信--国内地域通信」を一体として営む体制が現実となる。これがまさに、「ワンストップショッピング」「エンド・ツー・エンド・サービス」「シームレス・サービス」と呼称されるものとなって現出する。このように、テレコムビジネスにおけるグローバル・アライアンスの研究が、国内市場でのアライアンスの研究に結びつくことが考究によって明瞭になった。
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