1.まず、当該研究の前段階として導いてあった情報システムの推進と直接的効果と生産性・収益性への貢献に関する認識仮説を情報システム推進特性に関する全体的枠組みのもとでブレークダウンする。そして、やはり収集しておいたデータ(762社)を元にして、電話、郵便等々の方法によりデータの補完・整合性を図り、当該研究の予備分析の意味合いで再度分析検討を加える。この結果は、4先進企業のCIOクラスにも受容される。 その結果、次の点が明らかになる。 (1)総論的には、いかに、「情報技術による情報システム」の推進度合いが高くても、情報システムの直接的効果、そして情報システムの収益性への貢献度合いは密接な相関関係を持っているとはいえない。 (2)革新的志向の組織文化であれば、「情報技術によるシステム」の推進度合いおよび情報システムの直接的効果が密接な関連を持っているとは必ずしもいえない。 (3)むしろ、情報共有と組織学習のメカニズムといった「人間による情報システム」を機能させるのに適当な組織文化の存在が密接に関連し、必ずしも革新的志向の組織文化でなくてもよいと推進された。 (4)REウォルトンの社会技術論的アプローチ、P.ストラスマンの情報システム評価結果、T.H.ダベンポートの情報エコロジー・アプローチ等々を基礎にして、「情報技術による情報システム」と「人間による情報システム」整合性を重視した情報システム構築方法や評価技法の構想が有効であることが明らかになる。 2.今後は、この結果を、すでに設計し始めている本調査に反映して、さらに具体的に両情報システムの整合化の要因を探る。
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