研究課題/領域番号 |
09630120
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
遠山 曉 中央大学, 商学部, 教授 (40058152)
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研究分担者 |
池上 一志 中央大学, 商学部, 教授 (60055069)
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キーワード | 情報技術による情報システム / 人間による情報システム / 組織文化 / 情報共有 / 組織学習 / 日本的経営 / 生産性パラドックス |
研究概要 |
本年度の研究実績の主たるポイントは、次の3点に統括できる。 第1点は、「生産性パラドックス」、「情報パラドックス」の存在に関して相反する最も評価の高いStrassmannとBrynjolfssonの90年代以降における実証研究成果の殆どを年次ごとにトレースする。その結果、まったく対立する実証結果であるが、共通点も存在する事を発見する。 (1)伝統的生産性・収益性尺度によってITのパフォーマンスを測定することは意味がない。 (2)ITを直接的・自己完結的に労働や資本ベースの伝統的生産性向上の技術として認識していない。 (3)両者とも、人的・組織的要因との連動をとることによって、その機能が発揮できる。 以上の点から、我々の一連の仮説は米国でも成り立つことが推定された。 第2点は、一昨年実施した調査結果を、経営革新を高度に推進しているか否か、情報化投資を高度に行っているか否かという点から4グループに調査結果をわけて詳細な分析を加える。とくに情報技術を駆使してビジネス・組織転換という「革命的レベル」を指向する限り、人的・組織的要因との補完的改革と補完的投資との連動が必要となる。さらには人的組織要因の変革と情報化推進が連動するならば、情報化度合いや効果やパフォーマンスに密接に関連してくることを実証した。 第3点は、とくに情報共有・組織学習を通じて、意識や価値観、目的などが共有されて、情報システム効果は達成され、さらにそれらの情報システム推進目的および効果が、効率性、有効性にとどまらず、顧客満足向上や業務プロセスの抜本的改革といった、経営上の重要な目的と連動している場合に、経常利益などの業績が向上する点を詳細分析によって明らかにする。
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