研究概要 |
本年度の研究実績の主たるポイントは、次の2点に総括できる。 第1点は,「情報技術を高度に駆使しようとすればするほど,人間による情報処理機能を駆使しなければならない、そしていかに優れた情報技術による情報システムを構築しようと、人間による情報システムとの整合性が存在しなければ、情報技術による情報システムがいかに優れていようとも,さほどの効果がない」という我々の仮説に関して、実証分析結果に基づいて、最終報告書を意識して再整理をする. その過程において、我々の仮説は、とくにわが国の情報システム実践を前提にしたものであったが、米国においても共通して存在する「一般特性」である点を明らかにする. 第2点は,とくに90年代以降現在においてブームになっているインターネットをはじめとする情報技術による企業革新活動,たとえば、SCM,VCM,CRM,QR,CRP,ECRさらには、ERPシステム、ワークフロー・システム、プロセス・エンタープライズ、ワークプロセス、Eプロセス、製販統合等々に共通する実践的一般特性は,「プロセス思考」による情報技術による情報システム化であること,そして、これらの企業革新においても,明らかに我々の仮説が一般特性として成り立つことを明らかにする. 特にWebサイト環境でのビジネスプロセスの革新は,「目に見えない」顧客の価値を満足させなければならない。そのためには,単に主たる基幹のワークプロセスのみを情報技術によって高度化するのではなく,顧客を所与とすることなく,顧客が自ら「関係性を自己管理」する機能の埋込みと,いかに「負のプロセス」、「バックプロセス」、「支援プロセス」として脇に追いやられた「人的・組織的プロセス」をいかに基幹プロセスに関係づけ・転換するかが鍵になることを明らかにする.
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