本研究の目的は効率的でタイムリ-な新製品開発、製品改良をシステマティックに行うための製品開発モデルの構築、特に製品開発のプロセスを明らかにすることと、これを国際間で比較しそれぞれの国における製品開発の特徴を明らかにすることである。 平成9年度の研究はそれらの目的に対して、企業の新製品開発・製品改良活動の事例調査に関して日本とフィンランドの企業調査によって得たデータを中心に、製品開発プロセスの意志決定過程を明らかにするための研究を行った。企業調査は日本とフィンランドで同様内容の質問票に基づいてインタビュー形式で行ったが、この質問票を作成するための両国間の資料の交換、意見の交換にかなりのロードが割かれた。その結果、各事例における開発活動の機能・特徴およびそれらの活動と企業戦略との関連を個々のケースについて明らかにし、得られた知見の一部を、平成9年9月に開催されたスペインでの国際会議で製品開発過程の一般的な流れとして発表したほか、日本とフィンランドの事例調査を含めた両国の製品開発の特徴を纒め、その比較調査結果を、それぞれISPIM(スペイン)およびICPR(大阪)の国際会議で研究発表した。 平成9年度は両国同じ質問内容に基づく事例調査結果の分析が中心になったが、来年度は、さらに一般的な共通モデルとして両国の分析結果を整理・分析すると共に、製品戦略との関係をより客観的・具体的に明らかする予定である。
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