今年度も昨年度に引き続き、製品開発(新製品開発および製品開発)の意志決定プロセスにおいて、製品開発戦略、市場戦略が開発プロセスにいかなる影響を及ぼすかを、これまで進めてきたインフォメーション・ビヘービア分析方法を用いて明らかにするための研究を続けた。 そのために昨年に提案した基礎的なプロセス・モデルに改良を加え、このモデルに基づく調査項目を設定し、各製品開発のケースを実証的に分析した。 実態調査はフィンランドおよび日本の合計9社について行い、その調査結果から得られた日本およびフィンランドのそれぞれのケースと知見を1998年9月にウィーンで開催されたISPIM(International Society for Professional Innovation Management)のワークショップで共同研究者と共に発表した。 今年度の研究の結果、本研究で提案した調査方法、調査項目によって、それぞれの製品開発のケースと外的要因をある程度明らかにすることが出来た。 しかし今後の課題としていくつかの点が指摘された。すなわち調査は協議の結果決められた調査項目と調査方法を日本語と英語に翻訳して行われたが、ニュアンスの違い、企業の製品開発に対する技術的・歴史的背景、経営の基本姿勢の違い、あるいは両国の文化的な背景の違いにより若干異なる結果になった。 その相違が何によって生ずるものなのか、あるいは基本モデルの妥当性と問題点はいかなるものかについてのさらに詳細な検討は次年度の研究に持ち越された。
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