本研究は、国際会計基準の導入によってわが国の財務報告がどのようなインパクトを受けるかについて制度および実証の両面から総合的に解明し、わが国会計制度のグローバリゼーションの推進を図ろうとするものである。 上記の研究課題に応えるためには、国際会計基準の成立の背景・生成基盤を詳細かつ体系的に分析し、諸外国での実務実態を踏まえて研究する必要がある。そのような意図をもって、内外の関連の調査・分析を行い、わが国の会計基準と国際会計基準との比較分析を試み、その差異をもたらす理論的根拠を解明することを「第1年度」の研究課題とするものである。 第1年度(平成9年度)においては、国際会計基準の基礎をなす概念的フレームワークの特徴をアメリカ財務会計基準審議会(FASB)のフレームワークと比較することによってその特徴を浮き彫りにするとともに、国際会計基準とアメリカFASB基準との比較、FASB基準とわが国会計基準との比較を通じて国際会計基準の制度的特徴を論及した。併せて、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、スイス、フランス、および日本などを対象として体系的なアンケート調査を実施し、国際会計基準導入に対する先進国の企業担当者の対応と意識状況を調査・研究を行った。 以上の研究成果は、後述のように、論文4編として公表した(うち1編は公表予定)。
|