研究概要 |
本年度は、主に虚数乗法をもつ楕円曲線から得られるアーベル多様体の研究、有理数体上の特異アーベル曲面,有限アーベル群に付随するフュージョン代数の研究をおこなった。 1 虚数乗法をもつ楕円曲線から得られるアーベル多様体の研究 虚2次体Kを虚数乗法にもつKの絶対類体H上定義された楕円曲線Eに対し、HからKへの制限によりEから得られるアーベル多様体をBとする。Bの構造、特にその自己準同形多元環の構造を明らかにする研究を行った。特にEがガロア群の作用で互いに同種(K-曲線という)の場合の構造を調べ次の結果を得た. (1) Eの量指標がKの量指標から得られるとき,Bは単純なCM型アーベル多様体である. (2) Eが上のタイプでないとき,BはCM型でない単純アーベル多様体の直積に同種になる.その自己準同形環は可換かまたは4元数体になる. (3) 数値例で(2)の2つの場合がともに起こりうることを示した. 2 有理数体上の特異アーベル曲面の研究 有理数体上単純な特異アーベル曲面の分類を行った.この曲面は複素体上虚2次体Kを虚数乗法にもつ楕円曲線Eの直積に同種である.次の結果を得た. (1) Kの類群は基本アーベル群.類数は1,2,4. (2) それぞれの場合における具体的な構成法を考察した. 3 有限アーベル群に付随するフュージョン代数の研究 有限アーベル群の双対性に関連して,フュージョン則をもつテンソル圏の同値類の完全な分類を行った。
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