研究概要 |
(1) Weil表現を応用して、古典的によく知られていたJacobi形式と重さ半整数のSiegel保型形式との対応を、表現論の立場から再構成し、精密化した結果を証明した。成果は論文「On Siegel modular forms of half-integral weights and Jacobi forms」(The Transactions of A.M.S.351(1999)pp.735-780)に発表した。 (2) Siegel尖点形式の空間の次元公式を跡公式から計算する際に、各尖点からの寄与を、正定置二次形式のSiegelのゼータ関数の特殊値で書き下したT.Shintaniの結果(東大紀要22(1975)pp.25-65)を整理して、Q上定義された一般の半単純代数群Gで実有理点のなす実Lie群G_Rが可積分表現πを持つ場合に適用した。その結果、Q上定義されたGの極大放物的部分群Pに対して、G上のπに対応する保型形式の空間の次元公式へのPからの寄与は、PのLevi分解をP=R_u(P)〓LとしてRu(P)の中心のLie環をZ(n)として、放物型概均質ベクトル空間(L,Ad,Z(n))が正則ならば、そののゼータ関数の特殊値で書けることがわかる。更に具体的な例を詳細に検討した結果、Z(n)のZariski開L-軌道をΩとして、 i) (L,Ad,Z(n))が正則ならば{g∈G|Ad(g)Ω∩Ω〓}=P, ii) πのminimal K-typeδに対するπのspherical trace functionをψ_<π,δ>として、f_<π,δ>(X)=ψ_<π,δ>(expX)(X∈Z(n)_R)とおく。Pのopposite P^-から同様に作られた放物型概均質ベクトル空間を(L,Ad,Z(n^-))とする。f_<π,δ>のFourier変換f_<π,δ>をZ(n^-)_R上の関数とみると、f_<π,δ>のnon-zero setはΩ^-_Rに含まれ、LRの連結成分の作用に対して不変である。 更に、(L,Ad>Z(n))が正則でないならば、次元公式へのPからの寄与は消えるであろう。
|