研究課題
保型関数と深い関係にあるq-関数を対象にして、その特殊値についての研究を行い、以下に述べる成果を得た。Kを有限次代数体、υをKの素点、qをKの元で |q|v>1をみたすものとする。また、lを自然数、Q(z)とR(z)をK係数の多項式でdegQ 【less than or equal】l及びQ(0)≠0をみたすものとする。このとき、ポアンカレ型関数方程式Q(z)f(qz)=z_lf(z)+R(z)は、Kのvについての完備化Kvにおいて有理型な関数f(z)を解に持つが、その特殊値について次の定理が成り立つ:「αをKの零ではない元で、f(z)の極ではないものとする。このとき、f(α)はKの元ではない。さらに、具体的に計算できる定数μがあって、f(α)のvについての無理数度がμ以下となる。特に、f(α)はリューヴィル数ではない。」この結果は、鹿児島大学の桂田昌紀氏との共同研究を経て、オウル大学のKeijo Vaananen氏との共同研究によって完成されたものである。さらに、これらの共同研究の過程で、f(z)の特殊値とある種のq-超幾何級数の特殊値との間の関係が認識され、上記の定理をq-超幾何級数の特殊値の研究に応用する道が拓かれた。その成果として、Stihlの結果(Math.Ann.,1984)を一般化することに成功した上記の研究に関連して、当該研究費補助金により、このテーマに詳しいボルドー大学のAlain Lasjaunias氏を群馬大学に招き(1998年10月)、同氏から意見を聞くとともに、より進んだ研究の可能性についても討論を行った。また、研究成果を日仏超越数論研究集会(於日仏会館、1998年11月)で発表し、さらに、桂田、Vaananen両氏との共著論文を現在準備中である。
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