本年度の研究の主要目的は、対称行列の分割問題にあらわれる三井のDirichlet級数の解析的性質を調べること及び対称行列の加法系整数論の研究の手段である三角和の研究の進展であった。これらに関して以下の成果を得た。 1.2次行列に関する三井のDirichlet級数の全平面への解析接続、極の位置、留数の決定を行った。この目的のため、保型形式のスペクトル理論、3元2次形式の保型形式つきゼータ関数に関する共同研究を行っている。研究成果を11月、解析数論研究集会(京大数理研)で発表した。 2.多変数線型三角和のp進的性質の研究を行い、有限集合上のエルゴード理論、ノルム形式の非同次極小値への応用を与えた。成果を数論と力学系国際シンポジウム(イギリス、ヨ-ク大学、9月)において発表した。 3.分担者は一変数三角和の研究を進展させ、多項式の素数点での値の正規性への応用を与えた。研究成果を塩川教授(慶應大)との共著論文で発表した。
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