研究概要 |
代表者らは、先に、モジュラー関数1/jのq展開の係数が交代的であることのひとつの証明を与えた。(研究発表論文参照) 一方、McKay & Strauss (Comm.Algebra,18(1),1990)はMoonshineに現れる沢山のThompson seriesについて、そのq展開の係数の符号に周期性が見られることを観察して報告している。その中には、無限積で定義されるモジュラー関数(η(z)/η(5z))^6などが含まれる。この場合、符号パターンは(+-++-)を繰り返す。代表者らは、これらの事実が、Hardy-Ramanujanのサークル法の拡張を用いて証明されることを確認した。そして、例えば上記の場合、係数の符号はKloosterman和A_5(n)の符号と一致することを示すことができた。(数学会年会1998発表) さらに、代表者らは、このような現象が遥かに広汎に見られるものであることを確認した。ただし一般的には、指標付きのモジュラー関数を扱うこととなり、相当に微妙な問題が生じる。これらの全容の解明は、次年度の研究目標課題に加えることとしている。 またこれらの研究と合わせて、分担者らは、3次シ-ゲル保型形式のフーリエ係数の大規模な計算を実行して、ヘッケ作用素の固有値に関する宮脇の予想をサポートする新たな実例を与えることに成功した。(研究発表論文参照)
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