研究概要 |
研究目的はアフィンリー環のデマズ-ル加群の組合せ論的な性質を量子群の完全結晶の理論を駆使して調べることであった。今年度に実施することができた研究を以下箇条書で記すことにする。対応する論文を明示するために「11.研究発表」の欄に記入した論文を上から順に1,2,3,4と番号づけすることにする。 1.現在知られているほとんどの完全結晶に対し、その有限テンソル積を適当なデマズ-ル加群の結晶基底としてとらえることができた(論文1)。この考え方は今後完全結晶の分類に取り組むときにも大切な視点になるものと考えられる。 2.可解格子模型における1次元状態和のテクニックを用いて、レベル1のデマズ-ル指標の表示を求めた。また、1次元状態和の一般論やデマズ-ル指標公式との関連についても調べた(論文2)。 3.A型で一般のレベルの場合に、デマズ-ル指標のフェルミオニック表示を見つけ、それを証明することに成功した(論文投稿中)。 4.中島は変形された量子アフィン代数の結晶構造を詳しく調べた(論文4)。 5.小川は可積分系の摂動によって得られる系のスペクトルについて調べた(論文3)。 実施計画においては、今年度研究代表者が国際研究集会において発表を行なうことになっていたが、適当な機会がなかったため来年度の5月に延期することにした。
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