研究概要 |
この研究はPfaffianの和公式の応用として始まったわけであるが、この公式の原型は平面分割という組み合わせ論的な対象の母関数を求めるために最初に応用されたわけであるが、現在では平面分割の拡張であるrhombus tilingsやAztec diamondsなどいろいろな対象に応用されている。今回の当該研究での主な成果はPfaffianの和公式の応用としてシューア関数のようなA型の指標およびB,C,Dなどその他の古典群の指標に対してリトルウッド型の公式が拡張できることを示したことである。またJ.Alg.の論文においては、Pfaffianの和公式ではなくBinet-Cauchyというより簡明な方法で幅広い公式が得られることを示した。さらに現在はPfaffianのPlucker関係式とそれの応用が考案され、Pfaffianの和公式自体、このPlucker関係式とlattice path methodを使うことによってStembridgeの証明の拡張および簡略化が出来ることが明らかになった。Plucker関係式の応用としてはさらにplethismなどの指標の関係式への新たな応用が考えられる。また最近Proctorなどが提唱したd-complete posetなどKac-Moody Lie環の一般化されたワイル群に関連して考案された半順序集合はフックの公式など非常に綺麗な性質をもつと考えられており、それらの性質のlattice path methodsを使った組み合わせ論的な証明も、このPfaffianの和公式の応用として出来ることが明らかになりつつある。d-complete posetについてはbirdsやinsetsなど一部の既約なd-complete posetについて和歌山大の田川氏との共同研究によってこれらの性質がすでに証明されており、これらの証明からd-complete posetよりもさらに広い範疇の半順序集合についてそのP-Partitionの母関数に対してフックの公式が成り立つことがわかってきた。今後の課題としてはd-complete posetよりも広いクラスの良い性質をもつ半順序集合があるか、また、これらの既約なd-complete posetの母関数についてその表現論的な意味があるのか、domino tableauxやk-rimhook tableauxなどが存在するか等が考えられる。
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