研究課題/領域番号 |
09640053
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
中島 徹 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20244410)
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研究分担者 |
今野 宏 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (20254138)
竹田 雄一郎 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30264584)
岡 睦雄 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40011697)
卜部 東介 茨城大学, 理学部, 教授 (70145655)
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キーワード | 共形場理論 / モジュライ空間 / ベクトル束 / K3曲面 / カラビーヤウ多様体 |
研究概要 |
前年度までの研究によって曲線上のファイバー構造を持つ3次元代数多様体上の安定ベクトル束の重要性が明らかになった。本年度に於いては、K3曲面をファイバーに持つカラビ-ヤウ多様体の場合を考察する為に、K3曲面上の安定層のモジュライ空間の幾何学的構造を詳しく研究した。特に、基本的な存在定理を証明し、更に向井の意味での反射関手と弦理論に於けるT-双対性との関連を明らかにした。 最初の結果として、c_1(E)=0,c_2(E)=cとなる様な階数rの安定ベクトル束E(即ちインスタントン)が存在する為の必要十分条件は、c【greater than or equal】2rである事を証明した。この定理は、楕円K3曲面の場合にしか知られていなかった結果を任意の偏極K3曲面の場合にまで拡張するものである。弦理論に於けるK3曲面の果たす役割を考えると、この様な存在定理は理論物理で基本的重要性をもつ事が期待される。 二番目の結果は、反射関手によってインスタントンのモジュライを異る階数と第二チャーン数を持つベクトル束のモジュライに開埋入する事ができる事を証明した。特に、この結果から、モジュライの新しいコンパクト化が構成出来る。又、異る不変量に対応するモジュライのトポロジーの間にある種の関係が存在する、という著しい事実が導かれる。もしこの様な関係が一般の代数曲面に対して成立すれば、安定層のモジュライのオイラー数の生成関数がモジュラー形式になるというVafa-Wittenの予想の証明に役立つ可能性があるが、これは今後の研究課題である。
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