研究概要 |
円分体(alul体)の最大実部分体のideal類群、類数について未知存事が多い。平成9,10年度の科研費研究で、これらについての新らしい知見をいくつか得た。主要なものをいくつか述べる。 1. lを素数、kを(適当な条件をみたす)虚alul体、k_∞/kをその円分Z_l拡大とする。k_∞のideal類群A_∞は、複素共役でA_∞=A^+_∞【symmetry】A^-_∞と分解される。A^-_∞の構造は、MazurとWilesにより良くわかっている。A^+_∞は有限だろうという予想があるが決定的な結果はない。私は、kooのsemi-local unitsの群Uの、ある種Gauss和で生成される部分群Gを定義し、A^+_∞と商群U/Gのガロア構造がほぼ一致する事を示した。この事の意義は、上述の難しい予想を、Gauss和という手でさわれるものへ“おとした"事である。 また、abel体kを1つ固定し、素数lを動かした時、lについての上述の予想が成り立つlが無数に存在する事を、kについてのabc予想の下で示した。 2. 素数lに対してh^+_lを実l分体Q(Me)^+の類数とする。he^+_lがいくらでも大きいlが無数に存在すると予想されているが、現時点で証明は困難と思われる。この予想の関数体での類似を考えた。素数pを固定し、既約monicβ(∈lf_P[T])に対して、h^+_<T,β>を実円分関数体F_P(T)(M_β)^+の類数とする。〓Nで、NIh^+_<T,β>なる既約monicβの無限個の存在を証明した。
|