研究概要 |
本研究の主たる目的は,双曲三次元多様体についてのKuznetsou型跡公式を一般的に決定し,それとリーマン・ゼータ関数との関係をもとめることにある。とりわけ量指標でtwistされた跡公式は,(リーマン・ゼータ関数への応用を超えて),虚2次体上の全く新しい,「量を中心とした」整数論の構築をもたらす。今年度の成果は,以下の通りである: 1.跡公式にあらわれる種々のBessel型変換(あるいはHaukel型)について,その反転公式が,きわめて注目すべき,新しい分野を示していることの認識。換言すればLie群論の解析的整数論化とも云える萌芽を得た。 2.虚2次体のDedekind zeta関数の4乗平均値は,リーマンゼータ関数についての長年の目的である8乗平均問題に直接に関与していることの認識 上記の2点を通じて,多くの海外の数学者との新しい交流を得た。又,平成9年7月のPoland数学アカデミー国際研究集会(解析的整数論)において主講演者にえらばれた。更に,平成10年3月のOberwolfach会議にも招請をうけている。
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